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対談この人と
話そう...

2025年6月発行(vol.105)
たかす文庫「 この人と話そう… 」

陶芸家

清水 なお子 さん

土井 善男 さん

聞き手 蓮井 将宏

京都出身の土井善男さんと、大阪出身の清水なお子さん。お二人は共に京都精華大学にて陶芸を学ばれました。
清水さんは去年引退された陶芸家 藤塚光男さんの一番弟子であったところから、藤塚さんのご紹介にて
今回の展示会の運びとなりました。
風薫る五月のとある日に、京都にあるお二人の工房にてお話を伺った記録です。
大学でお二人共に佐藤敏先生に付いて学んだ事が大きな出来事だった様です。(身体で覚える職人の強さと古来の膨大な知識によるしなやかさが、作品を生み出します)ギャラリーenでの初めての個展が今から楽しみです。

蓮井 将宏 拝


 



薫 陶


蓮井:陶芸を始めたきっかけを教えてください。まずは清水さんから。

清水:私は大学で受かったのがたまたま陶芸科だったんです。教授をされていたのが佐藤敏先生という、とても良い先生で、すごく面白かったです。(佐藤敏氏の作品集を見せていただきながら)

蓮井:すごい人ですね、どちらかといえば、前衛的で。

清水:でももともとは五条坂の窯元の職人さんで、数を作るっていう…

蓮井:技を体得した方だったんですね。こういう方に教わるというのはラッキーでしたね、良い師との出会いというのは大事ですよね。それで大学卒業後に、藤塚光男さんのところへ?

清水:〝弟子入り〟というのをしたかったんですね。自宅から通えて、いわゆるオブジェとかではなく〝ろくろ〟をさせてもらえるところ、というので探して、偶然…、その頃は器の世界も知りませんでしたから。先生のところでは3年半いて、2000年に独立する時に先生から「すぐにサンプル作って、東京のお店回りなさい」とアドバイスをいただいて。陶芸関係の雑誌の巻末を見てギャラリーを調べて電話をしてアポイントを取って。今と違ってアナログでした。

蓮井:なかなか苦労したんですね…。藤塚さんのところではどういうことを学びましたか?

清水:〝ろくろ〟と、器を作る、ということを学びました。器は〝料理を盛っての器〟、という基本的なことですね。料理を盛った時にどう映えるか、そういうのは大学では学ばない観点ですから。

蓮井:和食器は引き算の美学ですよね。描き過ぎない、というか。何か手本にするものはあるんですか?

清水:昔の器を本などで見て、全部を写すのではなく、良いと思うところをとってきて、それを自分なりに描いていますね。

蓮井:そういえば藤塚さんは古伊万里がお好きですよね。

清水:先生は古伊万里のあの大らかな感じがお好きですよね。私も最初はそっちから入ったんですけど、だんだん、中国から来てる古染付に興味が出てきて。

蓮井:どういう魅力があるんですか?

清水:もうちょっと細かい描き込みがあるんです。そもそも、絵付けは独立した後から始めたんですが、佐藤先生が陶画塾といって焼き物に描く絵というものを週に一回、大学の卒業生などを対象にお寺で教えてくださっていたんです。先生は絵付けにも詳しいので、山水や花鳥文、四君子、小紋など、中国の画題で絵付けの文様にもなるものの基礎をそこで教えてもらいました。それでだんだんと。

蓮井:ご自分のスタイルを確立していったんですね。

土井:佐藤先生は絵も詳しいんです。明から清にかけて活躍した八大山人という画家がお好きだったり。走泥社という、戦後に京都で結成された前衛的な陶芸グループに属しておられて、そのからみで精華の陶芸科を作られた先生にぜひと請われて1988年から大学の先生になった方でした。

蓮井:あの時代の京都の作家さんや職人さんは人材の宝庫だったんですね。土井さんも佐藤先生に?

土井:はい。学年は違うんですけど、同じ陶芸科です。大学の授業ですからあまり実用的な〝食器を作る〟というのではなかったんですが、でも佐藤先生が最初に「(ろくろで)数をひけないといけない」とか、「絵を描け」とか教えてくださったんですよ。今思うと至極当然の事と分かるんですが、その頃などはあまりよく分かってなかったですね。

蓮井:佐藤先生は、職人とアーティストと両方わかっているというのがすごいですね。下地がないと展開していけないですからね。じゃあ、お二人で同じ陶芸の道を歩まれて、清水さんが染付で、土井さんが白磁で、あえて別々のジャンルで…

土井:いえ、僕ももともとは絵付けをしていたんですけど、無地の方が好評だったりして…(笑)。なので形を見つめ直すことで、今までやれてきてるかなと思っています。


蓮井:材料はどうしてるんですか?

土井:材料は、藤塚さんと同じ粘土屋さんで九谷の土を使っています。花坂陶石ですね。あまり白すぎないのと、カチッとし過ぎていないというのと、扱いがしやすいので。釉薬も合成の原料だけだと素気ないというか、綺麗に焼け過ぎるので、天然の樫灰と天然の藁灰を入れています。

蓮井:古伊万里で使われる柞灰も昔と違って高価だと聞きます。灰というもの一つをとっても、今と昔では環境が違ってしまっていますよね。

土井:そういえば、ここ亀岡は昔、平安京が出来る時の一大調達地なんです。保津川を利用して木材を運んで、それから須恵器の窯跡もたくさん残っていて。僕も興味があって発掘に行ったりしたんですけど、立命館大学の研究があって、三角窯という原始的な窯が見つかっています。土もこの辺りでとれるみたいで。亀岡に住んで、ものづくりをして暮らして行くなかで、昔、ここが素材の調達地であったという事を聞くと、なるほどな、と納得したところがあります。

蓮井:豊かですよね。もともと日本はね、豊かだったんですよ。日本中に焼きものの窯がありますよね。田んぼがあるということは稲作ということだけじゃなく、それで色んなものを作ることができるんです。例えば屋根の瓦とかね。自然が豊かなんです。それで日本中に工芸の伝統がある。つまり、僕が思うに、自然に即した生き方に添う形で工芸と言われる技があるわけで、工芸のために自然があるんじゃなく、自然があって工芸があるという感覚が、今問われている気がします。では最後に、個展に向けて、メッセージをお願いします。

土井:日々の楽しい食卓のお手伝いが出来る器を作っていきたいと思っております。お時間がございましたら、是非ご高覧ください。

清水:緑豊かな爽やかな空間で私たちの器を展示していただくのが楽しみです。ぜひご高覧いただけましたら幸いです。
 

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