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対談この人と
話そう...

たかす文庫「この人と話そう…」     
 東京    ライター


田中 敦子さん
聞き手 蓮井将宏(や和らぎたかす店主) 『きもの自分流入門』 小学館
             1.680円
『もののみごと』 講談社
          2.100円

・和をもって

蓮井 新宿の伊勢丹で、田中さんの『もののみごと 江戸のわざ、江戸のかたち』が開催されていましたね。 

田中 ありがとうございます。期間中、10日くらい私も会場にいたんですけど、そこで感じたのは、買って下さる方って、お金持ちで、ブランドを身に着けている人じゃない人達だということです。もっと地味で、でもものをじっと見て、…はっと買う。これが好きだと思ったら、高額なものでも頑張って、例えば他のものを多少我慢しても買って下さるんですよ。

蓮井 日本の工芸は庶民が支えている、と。そういうのって日本的な何かがあるんでしょうかね。物をつくる人を敬う、というような。

田中 それと、そういうものを尊んだり、美しいから側においておきたい、という感覚を持っているんでしょうね。勿論、富裕層でそういうものを 支えている方達もいるんですが、そうでない、一般的な人達が職人さんの仕事を求めて下さる。だから百貨店でやってもちゃんと人が来てくれて、楽しんでくれて、場合によっては購入して下さる…。その文化は驚きですよね。

蓮井 それは日本の歴史や文化が島国であるが故によく継承されていて、そのポテンシャルが、どこかにあるんでしょうね。

田中 たぶん、上流社会が常に様々な文化を創ってきたものに対しての憧れが民にあって、歴史の流れの中で次第に浸透していったものが今でも残っている、のかなあ…。

蓮井 この本の吉岡幸雄さんとの対談の中で呉服の由来が出てくるじゃないですか。(本の表紙「きもの自分流」の画像) 中国の「呉」とい国の服が、何故日本の和服になったか。僕の考えはね、中国の「和」と日本の「和」は決定的に違うんですよ。十七条憲法の「和をもって貴しとなす」の本は論語だと言われますが、あちらの「和」は、わいわい楽しくやるという意味。日本の場合は共生、共に生きるという「和」なんです。役割分担が発生する「和」。だから、僕は和服は共につくるから「和」服だと思ってるわけです。着物は分業ですよね。糸は糸屋、箔は箔屋とか。ある時、京都の誉田屋源兵衛さんって帯屋にパリからお客様が来て、「こんなに工程があるけど同じ会社でやってるのか」って質問に、「いや全部分業です」と答えてびっくりされたんですって。「何故統一してやらないんだ」と。でも逆に、統一なんかを考えなかった。

田中 それぞれが技を磨いて、まとまったときに一つの世界観が出来ればいい、と。

蓮井 和服って、それぞれのパーツが、一つを自覚して成り立つものじゃないですかね。


 




・洋服感覚の着物?

田中 私、こういう本を書いて仕事をしていると、「洋服感覚」と言われることがあるんですが、それは心外で、確かに洋服で育っているからそのセンスが自然に投入されているでしょうけど、着物のセオリーは尊重してやっているつもりで…、そのせめぎ合いがいつもあるんですね。

蓮井 僕はね、今や着物業界よりも、外から見ている人のほうがずっと着物や日本の文化に対して危機感を持って大事にしてくれている気がする。だから田中さんはずっと日本的な考え方を持ってちゃんとした提言をしてくれていると思いますよ。 
田中さんが『七緒』に連載していた「奔放きものクロニクル」、ああいうのは着物業界からは出てこないですよ。(笑)

田中 それまであった、戦後の高級呉服化の中に、破壊的なことをしたように思われているんじゃないかと(笑)。私自身にそういう意識はなかったですけど、たまたまめぐり合わせでね。『和楽』という雑誌を新しく創刊するにあたり、既存の着物雑誌とは違ったものでという時に、じゃあ私自身が着物を着て感じていたことを一緒にやろうというので森田空美先生にお願いしたのだったし、『七緒』はたまたまお茶のお稽古で一緒だった鈴木さん(『七緒』編集者)とのご縁だし…。ただ私自身は保守的なので、着るんだったらきれいなもの、きちんとできたものを尊ぶ着方をしたいな、と思っています。

蓮井 品とか格とか?

田中 ええ、取材でいろんな人と会ってみると、お金持ちとか貧乏とかじゃなく、生きている中で培った、しっかり根の張ったものを持っている人にはやっぱり品位があって。自分もそうありたいと思った時に、それは私にとってはきちんとした着方の中の美しさに繋がるんですね。ハレとケとかTPOがなくなった世の中ですが、どなたと、どんな場所、時間帯に会うか、自由な中にも自然と弁えておくべき事というのをきちんと考えて着るものを選びたい、という。

蓮井 それが本来の衣裳のあり方ですよね。ある人から聞いた話ですが、そのオートクチュールのデザイナーさんは、オーダーを 受けるとその人が着て出かける空間を見に行くそうです。その人を表す為ではなくて、その場にマッチさせるのがオートクチュールなんだって。

田中 オートクチュールもハレの衣裳だから、自己アピールの部分だけじゃなくて、その場に調和させる要素が必要なんですね…日本人って本来そういう意識を持っていたはずなのに、どこかでおかしくなったような気がします。





・リアルクローズ

蓮井 最後に、田中さんのいう「リアルクローズ」というのは?

田中 日々着るもの、非日常のコスプレのような着物じゃなくて、ライフスタイルに根付いた着物を着る、というような…、ワードローブの一つに着物が加わった、そんな感じで着物を着ませんか、という提案です。そうするとおしゃれの幅がより広がりますよね、そういう感覚で着物を捉えれば。

蓮井 それでいいんだよね、これからは。色々な選択肢がありますから。

田中 そこが今の時代の私たちの恵まれたところだと思うんです。

蓮井 ある程度の人がみんな買える。ちょっと無理すれば買える。

田中 昔のお嫁入りのように全てを網羅する必要はないけれども。でもフォーマルな衣裳って、大人になって素敵に見えるものを買おうとしたらけっこう高いし流行もあるじゃないですか。だったらちょっと頑張って、ちゃんとした着物を、自分に似合うものを買えば、そんなに高いものじゃないかもしれない(笑)。
大人が、堂々と、きれいで、生きていく中にあるのが着物。だから私の人生に着物があってよかった。というのが、私の想いです。





田中敦子さん略歴
早稲田大学卒業後’86主婦の友社に入社、雑誌編集部勤務を経て’96フリーランスに。
工芸、染織、着物を中心に取材、執筆、編集を行う。『和楽』の創刊、編集に参画。
また着物好きの若い女性に向けた『七緒』を監修(vol.26まで)。
豊富な知識や経験に基づき現代のライフスタイルに合う着物を提言してきた。

主な著作に
『江戸の手わざーちゃんとした人、ちゃんとした物』(文化出版局)
『きものの花咲くころ』(主婦の友社)
『きもの自分流リアルクローズ入門』(小学館)
『もののみごと』(講談社)
など。


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