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対談この人と
話そう...

2008年6月発行(vol.37)
たかす文庫 「この人と話そう…」

帯問屋「誉田屋源兵衛」10代目 山口 源兵衛さん

聞き手・蓮井 将宏(や和らぎ たかす 店主)


やまぐち・げんべい
帯問屋「誉田屋源兵衛」代表取締役。
1980年 山口源兵衛十代目襲名。
2002年 日経優秀賞、2003年日本文化デザイン大賞受賞。
2006年 コシノヒロコ、隅研吾とのアートコラボレーション
「襲(かさね)展」開催。
2003年より文様の精神史の研究に取り組み、現在に至る。


 創業は江戸時代、元文年間(1736-1740)。
着物通なら知る人ぞ知る。見る人があっと驚くような、斬新な素材使いや
緻密な表現・技術で京都室町の一角を担う帯問屋さんです。
その十代目山口源兵衛さんと、明治に建てられたという家屋の、素晴しいお庭が
臨めるお座敷にて、ひととき、着物について語らって参りました。

 


「確かな価値」

蓮井:古より日本人の血の中には、物の性質を活かして創意工夫する才能があるとか
   美的なものに対する特別な感覚が流れているとかいわれていますね。
   でもそれは過去の事で、次第に失われつつあるものかもしれません。
   発芽しないと、意味がないことですから。その辺のことを、
   今という時代の呉服業界を、どうお考えですか?
山口:近年、展覧会では葛飾北斎が、伊藤若冲が、狩野永徳が、来館者数の
   記録作りましたね。けど、どれも何百年も昔のもんですわ。
   これは結局、今の時代は、皆さんの身の回りに、信用できる確実な
   「価値」が見出されへんのや、その顕れやと僕は思っとるんです。
   そこから類推するに…。過去の着物というのは、生活必需品ですやん、
   毎日着物ですやん。でもひとくちに「着物」とはいっても、戦前、「絹」の
   着物を着ていたのは、学校のクラスでいうたら一人か二人なんですわ。
蓮井:ええ、母も言っていました。昔は、絹物を着られる人は少なかったと。
山口:そうです。そういうごく一部の人達は、茶道や華道を習っていて、
   生活の中に絹物の文化が根付いていた人達。それが、大戦以降ね、
   戦後復興して全体の経済状況が底上げされると、それまで絹の着物を
   着られずに憧れでもってそれを見ていた人達が、自分もいっぺん着てみたい、と
   思った。そこに呉服業界が乗り出したわけです…。
   だから僕は戦後、着物は売れてないと思てる。売れたんは「憧れ」の部分。
   いうたら、生活にそれほど必要ないもんをみなさんは買うたわけですよ。
   でも僕らが目指すべきは、もっと地に付いた需要ですやろ。
蓮井:生活と着物がリンクしている、ライフスタイルの中で、自分に合ったやり方で
   着物を楽しみたいという方ですね。
山口:ええ、そこでね、そういう観点から現代を見渡すと、現代の、着物が着たい、
   という人がかっこええと思うような着物を、業界は作ってないんですよ。
   僕はそういう人達がかっこええと思う着物を作りたい。


    
「衣装=生命力を纏う」

山口:それからもうひとつ。徳川幕府の確立以前、武士が官僚化してない時代ね。
   その頃は、意味を着てるんです。
蓮井:というと?
山口:着物の「意味」。文様が象徴しているものとか。効能やね。植物染料の植物や
   色にも、それぞれ意味がありますやろ。
蓮井:藍は虫避けとか、紅花は体を温めるとか…、漢方薬の服用と同じ効用が
   植物染料にもありますね。
山口:前にね、インドネシアのバティックを見に行った時、現地で唐辛子の柄を
   見せてもろたんです。これは歴史的な柄なんや、とっておききの柄や、どうやと。
   向こうの人はね、唐辛子の霊力を信じているわけですよ。唐辛子にはすごい力が
   あって、その霊力を頂くいうんで、唐辛子の柄のバティックをやるわけですよ。
   それは例えば都会のおしゃれな雑貨屋さんにおいてある唐辛子の柄のかわいい
   クッションやハンカチとはわけが違う。片やこちらの唐辛子には霊力が宿ってる。
   それを作った人は、意味を信じて僕に薦めてくれてる…。
   日本の着物にも、本来、意味の力があった。衣装とは、そうあるべきやないでしょうか。
   それはかっこええと言う以前の価値観で、まあ言うたら野暮なんやけど、
   その、霊を信ずる、意味を纏う、ということをね、僕はこれから、着物を着る理由の
   一つとして、広めていきたいと思てるんです。

  

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