店のお手洗いに、猫が上を向いて座っている絵がかかっているのですが、
その絵に描かれている言葉が表題の「じっと座って風をまつ」です。
今、世の中で起こっている悲惨な事件や事故の多くは、これができなかった
ことに起因しているのではないかと思います。
利益アップや効率化という名目のもとに、吹いている風の流れを捻じ曲げたり、
せき止めたり、風の影響を受けないように強大な壁を築いたり。
そうかと思えば、吹いてもいない風を無理やり起こしたり。
それは上を下への大騒ぎです。
自然に任せることは、そんなに非文明なことなのでしょうか?
何としてでも人に誉められるスピードで期待される到達点に行かないと
恥ずかしいのでしょうか? そうしようと思うと、人を物とみなし、すべてを
システムで固め、コンピュータに頼らなくては仕事ができなくなってしまうのは
自明ですが、そんなことになるより「要領と効率が悪い」といわれるほうが
よっぽどいいと思うのは私だけでしょうか?
システム自体が効率化と省力化を図るあまりに現実と乖離しているのに、
それに従わなければ是とされない仕事やビジネスとは、いったい何を目的とし、
誰を幸せにするものなのでしょうか?
先般、与那国に行った帰りに石垣島に寄る予定でした。
ところが天候不良で石垣空港に着陸できず、飛行機は予定を変更して
那覇まで飛んでしまいました。那覇から別便で石垣に戻ることもできたのですが、
私は素直に「石垣はまた今度。今日はこのまま高松に帰ろう」と決めて、
そう手続きしました。今回は「もう帰りなさい」という風が吹いていると
思ったからです。それは正解だったと思います。
一日早く帰ったおかげで、
この原稿も、与那国の原稿もゆっくりと書くことができたのですから。
|