店主の
ひとりごと
春の珍事 | |
毎朝、店のとなりの杜に行く事から一日が始まります。 ある春の朝、杜に行くと、デッキに桜の枝が数本折られて、落ちているのを発見しました。翌朝も同じ様に…。誰の仕業かと周囲を見ても、分かりません。枝を片付けながら、ふと上を見ると、小鳥が枝をくわえているではありませんか。思わず、 「こらっ!!」 これから花を咲かさんとしている桜の枝を折るとは何事か。 しかし次の瞬間、面白い事に気付きました。小鳥が落としていったのは、ほとんどが枯れた枝だったのです。彼等は木の剪定をしてくれたのではないかという考えが浮かびました。自然の力はなんと素晴らしいのだろう。この杜がなければこんな小さな日々の営みを感じる事はありませんでした。 自然は循環の中で生き、生かされています。人も本来はその中で光り輝く存在であり、おのずと楽しく心が澄んでゆくはずのものです。しかし現代人がその事に目覚めているか、甚だ疑問です。冬の厳しさが自然を育てる様に、澄んだ心を「績む」為に今があると思うと、私達の生き方にも希望が生まれますね。小鳥に感謝のひとときでした。 合掌
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vol.53 (2012年6月発行)より |
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